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    と云ふ疳高かんだかい大きな声があたりに響きわたつて房一を面喰せた。

    「早く早くつたつて、もうお支度はちやんとできてますわ。あなたが遅くかへつて来といて――」

    「ねえ!」

    「うん」

    近づきながら、何となくほの紅くなつて、中声で叫んだ。そして、房一の傍にいる小谷と徳次を認め、小腰をかゞめた。括くゝられてふくらんだ袖口からは気持のいゝ白い腕が露はれていた。

    川沿ひから分れた路は段々になつた切株だらけの乾田に沿つて、次第上りに、両側はゆるやかな山合ひに切れこんでいた。

    「なに?」

    「いや、わしは出んぞ」と叫んだ。

    云ふなり又思ひ出したやうに玄関へ上つて行つた。

    「小倉組といふと、下の工事場の方ですな」

    「はあ――ふむ、うちへもかね」

    「便所に化物が出たそうです。」

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